今更ながらポケモン映画レビュー 「結晶塔の帝王 ENTEI」

今回は無印第3作「結晶塔の帝王 ENTEI」をレビューします
前回の「ルギア爆誕」に力入れ過ぎたので、このレビューはあっさりめで
この映画を一言で表すなら「大人の方がジンとくる親子愛」だと思う
※この映画自体は上映当時に視聴済み。このレビューは先日観直した際の感想を元に書いてあります。
※思ったことをダラダラ書いたので読み辛さMAX
(編集者:飛びイカ)
(ウィキペディアより)美しい高原の街「グリーンフィールド」に父親のシュリーと共に暮らすミーという少女がいた。
ある日、父親が遺跡の調査中に行方不明となった。父親が残した奇妙なカードをミーが並び替えた時、謎のポケモン「アンノーン」と共にエンテイが現れた。
一方、サトシたちも旅の途中で「グリーンフィールド」を訪れていた。突如グリーンフィールドがクリスタルで囲まれたことに困惑するサトシ達の前にエンテイが現れ、偶然現場に居合わせたサトシの母親を連れ去ってしまう。
サトシは母親を救うため仲間と共にグリーンフィールドの中心に出来た結晶塔へ向かう。
【感想】
[自意識の内側へ…]
まずね、父親をアンノーンに拉致されたミーが可哀想でならない
そもそも広いお屋敷に家族は父親しかおらず、後は数人のお手伝いさん
それなのに肝心の父親もいなくなってしまったのだから、幼いミーの孤独を考えると胸が痛くなる
父親が遺跡で発見したカードを「お土産」と称して一人で並べて遊ぶ姿も同情を誘うし、
開幕から観ていられないレベルだった
カードで遊ぶことでアンノーンの精神と繋がり、召喚してしまうミー
アンノーンの力でかねてから父親と重ねていたエンテイを創り出してしまいます
「父親」を手に入れたミーは自分の殻に閉じこもろうとします
アンノーンはその意識を読み取り、屋敷と周辺を結晶で覆いだす
父親を得て安心したミーは、次の望みをエンテイに告げます
「ママが欲しい」
この言葉を受け、エンテイはグリーンフィールドに訪れていたサトシのママに「お前はママだ!」と暗示をかけ拉致しました
実はミーの父親はオーキド博士の教え子で、サトシのママとも面識があります
グリーンフィールドの惨状に心配したサトシのママはマサラタウンからオーキド博士と一緒に駆け付けたのです
サトシのママ自体は前作の「ルギア爆誕」にも出てきましたね
ちなみにウィキで知ったのですが、サトシのママの名前は「ハナコ」と言うそうですw
父親と母親を得たミー
満ち足りた世界でさらに自分の世界へ閉じこもろうとミーは結晶を広げます
幼少期には誰もが通らざるを得ない他人との接触を、
父親と母親、自分だけの空間を得たことで拒む様になってしまったのです
[頼れるアニキ:タケシ]
母親を連れ去られたサトシは動揺し、エンテイの後を追いかけ結晶で覆われた敷地へと無謀にも侵入しようとします
「何があるか分からない」
そう言ってサトシを止めたのが年長者であるタケシでした
前作「ルギア爆誕」ではヒロイン:カスミに言及する場面が目立ちましたが、
今作は頼りがいのある兄貴分としてのタケシを見ることが出来ます
上記のように一時はサトシをいさめますが、気持ちを組み、屋敷への侵入に同行
しかし屋敷の中は不思議な空間に様変わりしていました
動揺するサトシとカスミでしたが、タケシはこの空間はミーの心の世界を現わしていることに気付きます
また「大人になりたい」というミーの願望で創られた18歳の姿のミーを見て
「あなたの名前はミーですね?」
と一発で看破し、洞察力の高さを見せました
そして本当のミーは別の場所にいるであろうこと
ここは自分に任せてサトシ達は先へ行ってほしいことを告げ、足止めするため大人ミーとバトルを繰り広げました
[本格的なポケモンバトル]
今作ではタケシが18歳の姿のミーと
カスミが10歳の姿のミーとそれぞれポケモンバトルを繰り広げます
ルールは3体選出の入れ替え自由とゲームと同じようなものであり
バトルの内容もゲームを意識したようなもの
例えばタケシのイワークとミーの幻のゴマゾウの戦いでは、
大きさの差があれど、相性の差でミーのゴマゾウが勝ち、
カスミのヒトデマンとミーの幻のマンタインの戦いでは、
マンタインの放った渦潮を、ヒトデマンの高速スピンで突破する描写がありました
これって「相性無視」「見た目重視」のアニポケでは珍しいなぁと思います
アニメももっとゲーム準拠でいいんやで?
[リザードンカッコよすぎだろ]
サトシとサトシのママが連れ去られる場面は、たまたま来ていたTV中継で放映されていました
発信された情報は全世界に届きます
そう、リザフィックバレーにも
リザフィックバレーではサトシのリザードンが修行をしていました
しかしサトシのピンチを知り、リザードンはグリーンフィールドに飛来します
そして対立するエンテイと激しいバトルを繰り広げます
サトシの手持ちの中で最強との呼び声高いリザードンと伝説のエンテイのバトルは見物です
[子を持つ父親の気持ち]
自身の殻にこもるミーにサトシ達は外の世界へ出るように説得します
しかし、エンテイは良しとしません
「ミーが望むなら……」
「例え間違いでも……私はミーの願いを叶えてあげたい」
ミーのため、ミーのことを一番に考え行動する
ここら辺の描写は小学生、というよりも
一緒に観に来た親の方が感じ入るものがあったと思います
そして最終的にはミーのことを考え、外へ出ることを決断します
暴走したアンノーンを抑えるため、最後には自らが消滅することをいとわず
アンノーンのバリアに飛び込みます
暴走したアンノーンを止めるということは、自らが消滅するということ
子供のために命をかける
父親としての姿が、そこにはありました
今作のテーマは「父と娘」「家族の絆」
今作のエンテイは確かに幻の存在でした
しかしその行動・理念はまさしく父親そのものでした
[後半の時間配分が今一つ]
今作は一貫したテーマやバトルの内容が充実しており、高いレベルでまとまった作品であると思います
しかし物語のテーマが「親子愛」であるならば、最も盛り上がるのは対立していたエンテイがミーの自立を認める場面であり
その後のアンノーンのバリアを突破する、という場面に時間がかかり過ぎていた印象があります
また、エンテイはアンノーンのバリアを突破した場合、自身が消滅する訳ですが
それを劇中でほのめかしていれば、より一層感動したのではないかと思います
(それこそ「エンテイ…身体が…!」みたいな一言が入るだけでも違うと思いました)
テーマがテーマなだけにエンテイとミーとのやり取りだけで済ませるべきなのに
ヒロイン:サトシさんがエンテイとミーとの間に入ってしまいがちだったのもどうかと思いましたね
まぁ、主人公が空気になるのを避けたのでしょうけどね
(エンテイ「ミー、私を信じてくれ…!」サトシ「そうだ!ミー、エンテイを信じるんだ!」ミー「パパ―――!!」)
(…サトシ要らないよね。この場面に限ってだけど)
[エンディングで感じる違和感]
今回の件を経て、ミーは外の世界へ出る事を決意しました
エンディングではその後の経過が語られています
どうやらミーは幻でも使用していたヒメグマを飼いだしたようです
寂しかったミーも友達が出来て大喜び
また、父親は無事にアンノーンから解放され、横には母親らしき人物も確認できます
良かったね!ミーちゃん
と、普通に観てたら良かった良かったなのですが
個人的にはこのエンディングに若干の違和感を感じます
というのも、この世界はポケモンという存在がパートナーとして強く結びついている世界です
そんな中で、親が留守にしがちで寂しがっている子供に、何故もっと早くポケモンを与えてやれなかったのか、と思うんですよ
ゲームとかやってると
「ポケモンがいるから寂しくないよ!」
みたいなことを話す子供がほぼ確実に出てきます
つまり子供にポケモンを与えるというのが一般的な世界で、ミーの周りの環境
ミーにポケモンがいないということよりも、屋敷に全くポケモンがいないことに違和感を感じました
屋敷にはポケモングッズ(ポケモンのぬいぐるみやおもちゃ、メールにはポッポがあしらっている)が溢れているのに
肝心のポケモンがいない、というのはどういうことなんですかね
父親はアンノーンを調査する博士なのですから、ポケモンを嫌ってる訳ではないでしょうし
本編で「ミーはまだ幼いからポケモンはまだ早い」みたいなことを言及してくれれば違ったんでしょうけどね
人とポケモンが寄り添う世界
なのに何故もっと早くミーにポケモンを与えなかったのか
どうして屋敷にはポケモンが1匹もいなかったのか
また、エンディングで写っている母親と思しき人物
これもおかしな話で、劇中で執事が「お嬢様は本当に御独りになられてしまった」という発言をしており
暗にミーには母親がいない、ということを語っています
フィルムコミックにはこれは病気療養中だったミーの母親ということが書いてあるそうですが
ミーは母親を欲し、エンテイはサトシのママを偽りのママとして拉致しました
望みを叶える力があり、本当の母親がいるなら、母親の病気を治したり
本当の母親の所へ行けばよかったのではないかと思いました
(ミーが物心つく前に遠方の病院に行ってしまったとかなら分かりますが)
(写真なんかもない、っていうのはやっぱちょっと違和感)
この母親の件ですが、調べたところ今作はミュウツー・ルギアを手掛けた首藤剛志さんと園田英樹さんの合作脚本であり
首藤剛志さんが脚本を書き終えた後に倒れ、手直しを園田英樹さんが手掛けたことによる食い違い、とのことです
僕はてっきり父親が再婚したのだと思ってましたw
[↓ここで廃人が冷静に一言]
エンテイの特攻種族値は90しかありません
つーかポケモン金銀準拠なので、炎技は全て特攻依存という…
【総括】
バトル面ではリザードンVSエンテイのバトルが熱かったですね(炎的な意味で)
素早さを活かすリザードンに地の利を活かすエンテイ
どちらも引けを取らない戦いを繰り広げました
(一般ポケと同等の伝説ポケって…とか思ってはいけない)
正直この「結晶塔の帝王」は子供の頃は面白さが分かりませんでした
ですが、大人になって観てみるとミーの寂しさやエンテイのミーを想う気持ちがヒシヒシと伝わってくる良い映画だなーと思いました
ミーが自らの殻にこもってしまった理由も分かりますし、同じ位に外の世界へ出て欲しいと思いました
今後のミーは、ポケモンと、仲間と、家族に支えられ、このポケットモンスターの世界を生きていくことでしょう
この『物語』は、ミーが歩き出す物語だ。
以上
「ミーのからをやぶる!」
「ミーの防御が下がった!ミーの特防が下がった!」
「ミーの攻撃がぐーんと上がった!ミーの特攻がぐーんと上がった!」
台無しである
次回は「セレビィ 時を超えた遭遇」をレビューします
今回はあっさり目でしたが、セレビィは非常に長くなると思います
時わたりの考察の性で
それでは今回はこの辺で
ノシ
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