群馬大学GA研究会 なんでもにっき

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アポロ計画を振り返る Vol.4 ~人類の大いなる飛躍~

Apollo-11  Apollo-12 patch



Presented by CHAKE...

ちゃんとシリーズ化出来てる! 良いぞ良いぞww









前回までのあらすじ

「アポロ計画」は順調に進行し、「アポロ7号」で遂に有人飛行が再開。
懸念材料であった月着陸船の開発もどうにかなってリハーサルも完了。
残すは最終目標 ・ 月面着陸の達成だけとなったのだった!






今回は 『アポロ11号』 及び 『アポロ12号』 の2つだけ。

「ミッションG」及び「ミッションH」、すなわち 月面着陸及び帰還 を行うミッションです。












アポロ11号(1969年7月16日打ち上げ)


Apollo-11.jpg



【ミッションの分類】G
【使用ロケット】サターンⅤ
【着陸地点】静かの海
【乗組員】 ・ ニール・アームストロング(船長)
 ・ マイケル・コリンズ(司令船パイロット)
 ・ バズ・オルドリン(月着陸船パイロット)
【コールサイン】 ・ 司令船 : Columbia(コロンビア)
 ・ 月着陸船 : Eagle(イーグル)
【ミッションの目的】人類初の月面着陸及び帰還






1969年7月16日午後1時32分、人類の夢を載せたサターンⅤは発射台を離れました。


例え、これが米ソ冷戦の副産物に過ぎないのだとしても、
例え、これが攻撃用の弾道ミサイルから発展しているのだとしても、
この打ち上げシーンには何か神々しい物を感じてしまってなりません。



Apollo-11 crew


さて、そんな人類初の偉業に挑む11号の乗組員達。
左からニール・アームストロングマイケル・コリンズバズ・オルドリン


アームストロングは「ジェミニ8号」以来、これが2度目の宇宙飛行。
寡黙な人で、冷静沈着であった事から、このような重大なミッションの船長を任されたと言われています。

コリンズは「ジェミニ10号」以来の2度目の飛行。
この3人の中では一番の社交的な性格で、常にムードメーカーとしての役割を果たしたとされます。

オルドリンも「ジェミニ12号」以来の2度目の飛行。
当初は彼の代わりにジム・ラベルを当てる話もあったようですが、ラベルは船長格の人間との判断から交代はありませんでした。





Apollo-11 eagle


打ち上げから4日経った7月20日、月着陸船 “イーグル” は司令船 ・ 支援船から切り離されました。
司令船にはパイロットであるコリンズ1人が残り、月面着陸はアームストロングとオルドリンが行う事となります。

オルドリンの肩書きは「月着陸船パイロット」ですが、実際に操縦するのは船長のアームストロングです。



切り離しから2分程して、DPS(降下用)エンジンが噴射を開始。
“イーグル” は減速し、動力降下を始めます。

しかしこの際、目標としていたクレーター上を通過するのがシミュレーションより4秒程早い事に気付きます。

別にそこまで大した事じゃないようにも思えますが、
この時の月着陸船の速度では、着陸予定地点を数マイル以上も通り過ぎてしまう事に。




LM interior


そっちで手一杯にも関わらず、また別の問題も発生。
航法コンピュータがコード「1202」 ・ 「1201」という警報を発し始めたのです。
幾多のシミュレーションを重ねたアームストロングやオルドリンですら、この警報が何を意味しているのか分かりませんでした。

重大なシステムトラブルであるなら、即座に降下を中止しなくてはなりません。
しかし地上スタッフはこの警報は無視しても構わないとして、降下を継続させます。

実はこの警報、コンピュータがオーバーフローを起こしかけていると知らせる物でした。
万が一の事態に備えて司令船とのランデブー用のレーダーを切らないでおいた所、コンピュータには高度測定用レーダー ・ ランデブー用レーダーと2方向からデータが入って来る事になり、演算処理が追い着かなくなっていたのでした。




Sea of Tranquility


しかし、着陸予定地点を過ぎた事が更なるアクシデントを呼びます

“イーグル” が向かって行った先には、直径100mはあろうかという巨大なクレーターが広がっていたのです。
その中には乗用車サイズの岩がゴロゴロしており、そんな中に月着陸船の貧弱な足で突っ込んだらどうなるか・・・・・・


そこでアームストロングは操縦を半手動(マニュアルモード)に切り替え、クレーターを過ぎた辺りへの着陸を試みます。
しかし今度は長時間の飛行で燃料残量が少なくなります

オルドリンが燃料残量や高度 ・ 速度等のデータを読み上げる中、アームストロングは粛々と “イーグル” を操ります。





そして・・・・・・





Houston, Tranquility Base here. The Eagle has landed.
(ヒューストン、こちら 『静かの海基地』 。 “イーグル” は着陸した)




Apollo-11 EVA


1969年7月20日午後8時17分、月着陸船 “イーグル” は月面に着陸
人類が初めて、地球以外の天体を訪れた瞬間でした。

「アポロ計画」が始動して10年も経ずして成された快挙でした。







アームストロングとオルドリンは予定を早めて船外活動(EVA)を開始。
最初に月面に降り立つのは、船長であるアームストロング
ハッチを潜る時点でかなりの苦労を強いられますが、何とかここを通過。

月着陸船に設置されている低速度走査テレビジョンカメラが彼の姿を捉える中、アームストロングはゆっくりと梯子を降りて行きます。


着陸からおよそ6時間半後の、7月21日午前2時56分。
アームストロングは月面に第一歩を記し、次の有名な言葉を発しました。

That's one small step for “a” man, one giant leap for mankind.
(一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大いなる飛躍だ)


途中の「a」がダブルコーテーション付きなのは、アームストロングが不定冠詞を付け忘れてしまったため。
アームストロング自身はこう記載する事を好んでいます。

アームストロングでさえ間違うんだから、私が英語間違うのは至極当然ですよねw




Apollo-11 EVA2


その後オルドリンも月面に降り立ち、2人は月面での仕事を開始します。

月面や月着陸船の様子の撮影
砂のサンプル採集
星条旗の設置
科学実験装置の設置
土壌サンプルや岩石の採集
これら主な任務を全てこなした後、アームストロングとオルドリンは “イーグル” 船内に戻ります。


7時間睡眠した後、離陸準備を開始。
上昇段に設置されたAPS(上昇用)エンジンは問題無く稼働し、 “イーグル” は月面を後にしました。

そのおよそ3時間後、 “イーグル” は司令船 “コロンビア” と無事ドッキング。




Apollo-11 recovery


地球を出発してから8日後の7月24日、11号の司令船 “コロンビア” は再びの地球へと帰還。
着水位置は西経172.4度 ・ 北緯10.6度、ハワイ南西の太平洋上でした。



この「アポロ11号」の偉業達成により、米ソの宇宙開発競争はアメリカの勝利で一区切りとなりました。

ソ連も有人月面着陸の計画は持っていましたが、財政難 ・ 「N-1ロケット」の相次ぐ失敗等で頓挫。
以降は無人探査を主とするようになります。















アポロ12号(1969年11月14日打ち上げ)


Apollo-12.jpg



【ミッションの分類】H
【使用ロケット】サターンⅤ
【着陸地点】嵐の大洋
【乗組員】 ・ ピート・コンラッド(船長)
 ・ ディック・ゴードン(司令船パイロット)
 ・ アル・ビーン(月着陸船パイロット)
【コールサイン】 ・ 司令船 : Yankee Clipper(ヤンキー・クリッパー)
 ・ 月着陸船 : Intrepid(イントレピッド)
【ミッションの目的】 ・ 月面着陸及び帰還
 ・ 月面における科学探査
 ・ ピンポイントでの月面着陸の実施
 ・ 13号以降の着陸予定地点の写真撮影



11号による偉業達成から4ヶ月後、「アポロ12号」は人類二度目の月面着陸に向け出発しました。

11号の栄光の影に隠れて余り有名ではないという感じですが、
私はこのミッションが大好きです。

色 ん な 意 味 で 面白いミッションですw




Apollo-12 crew


わざわざこんな写真を使う辺り、筆者である私の悪意が感じられるでしょうw
勿論宇宙服を着込んだ他のミッション同様の写真もありますが、彼らにはこっちの方が似合ってる気がしたので。

左からピート・コンラッドディック・ゴードンアル・ビーン


コンラッドは「ジェミニ5号」、「ジェミニ11号」で飛行したベテラン。
ユーモアの塊のような人物で、数々の “伝説” を残しています。

ゴードンは「ジェミニ11号」においてコンラッドと共に飛行しました。
コンラッドとは良いコンビで、この時点での予定では彼も後のアポロで月を歩く事になっていました。

ビーンはこれが初飛行。
当初予定されていた飛行士が訓練機で事故死したため、代わりに抜擢された経緯があります。





thunder.jpg


12号の打ち上げは最高の天気の中行われました(大嘘

余りの荒天に、スタッフの中にも打ち上げ中止を求める意見もありましたが、打ち上げは強行。
12号を載せたサターンⅤは発射台を離れます。


しかし打ち上げ後36秒の辺りで、上空の雷雲からサターンⅤに落雷
それも同時に2つの雷が落ち、電流はロケットの排気ガスを通じて発射台まで到達しました。

これにより司令船内の一部装置の電源が落ち、電源回復後もデータ化けが生じる事態に。
ヒューストンの管制室で電気 ・ 環境 ・ 消耗品担当官(EECOM)を務めていたジョン・アーロンは、信号制御装置(SCE)の故障と判断し、即座にSCEを予備に切り替える事を指示します。

・・・・・・が、この指示はやや明瞭さに欠けていたため、他のスタッフや船長のコンラッドすらも操作を思い出せませんでした。


 


この時の実際の音声記録が残っています。

この後ビーンが以前の訓練時に同様な状況を想定して行っていた事を思い出し、事無きを得ました。
データの復旧が出来なかった場合はミッションは中止モードへ移行する事になっていたので、ギリギリの所だった訳です。




Surveyor 3


12号の着陸は、 “先客” の待つ地点へピンポイントで行う事を目的としていました。

先客とは、この2年前の4月に先に月に到着していた無人探査機「サーベイヤー3号」。
月面に軟着陸し、地表の調査を通してアポロ計画の前調査を行いました。


11号が着陸予定地点から大きく外れたのに対し、結果として12号はピンポイント着陸を見事に成功。
写真からも見て取れますが、着陸地点は「サーベイヤー3号」から約180mという位置でした。




Apollo-12 EVA


12号はただ単に着陸さえすれば良かった11号から一歩進んで、「ミッションH」となりました。
このため船外活動(EVA)は4時間弱の物を2度に渡って行い、岩石のサンプル採集を実施。
また、月の地震や太陽風の強度、磁場等を計測する観測装置を設置しました。

月周回軌道上からは、司令船 “ヤンキー・クリッパー” に残ったゴードンが月面の多波長写真撮影を行いました。





一見至って真面目に任務をこなしているように見える彼らですが、色々と逸話も残っています。


初の月面からのカラーTV中継を台無しに
これは持ち込まれたカラーTVカメラを設置する際、「カメラを太陽に向けるな」という事前の注意をビーンが忘れ、
見事にカメラ内のビジコン管がお釈迦になって、中継不可能になってしまったという出来事です。
完全に映らないという訳ではなかったので、ビーンは調査用のハンマーでカメラをブッ叩いて調整を試みたそうですw


月に人類初のポルノを持ち込む
乗組員達は船外活動の際、作業順序や地質学の用語といった物を掲載したチェックリストを手首に付けていました。

これに12号のバックアップ ・ クルーが細工を行い、
縮小した「PLAYBOY」の折り込みグラビアをこっそりと忍ばせていました。
打ち上げ前は確認する余裕が無かったため月面でこれに気付き、コンラッドとビーンは大爆笑したそうですw


コッソリ写真を撮ろうと計画するも失敗
コンラッドは自分とビーンと「サーベイヤー3号」が一枚に収まった写真を撮ろうと計画。
そのためミッションの標準装備品には含まれない、カメラ用のセルフタイマーを持ち込んでいました。

しかしいざ撮影のタイミングになると、タイマーは行方知れずに。
結局月からの離脱間際に見つかったものの、最早時間切れ。
誰が撮ったか分からない謎の写真は、幻に終わりました。


月面に降り立って・・・
コンラッドは月面に第一歩を記すと、

Whoopie! Man, that may have been a small one for Neil, but that's a long one for me.
(ヤッホー! ニールにとっては小さな一歩だったろうが、俺にとっては大きな一歩だぜ)

と、コメントw

これはイタリア人ジャーナリストのオリアーナ・ファラーチとの「NASAは宇宙飛行士のコメントを統制しているか」という、500ドルの賭けに勝つために発言した物。 自分の身長がアームストロングより小さい事をかけています。
賭けには勝ったものの、帰還してからこの発言で奥さんにこっぴどく怒られたそうですw

























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