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アポロ計画を振り返る Vol.2 ~無人試験と最初の悲劇~

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Presented by CHAKE...

いよいよ各ミッションの解説に入っていきます。











アポロ計画のミッションには「ミッションA」~「ミッションJ」の9つの種類があります。

それぞれ宇宙船の特定部分の性能や手順を確認するためのもので、
次の段階に進むには前の段階での成功が必要でした。


A司令船 ・ 支援船 試験飛行無人
B月着陸船 試験飛行無人
C司令船 ・ 支援船 低高度地球周回飛行及び帰還有人
D司令船 ・ 支援船 ・ 月着陸船 低高度地球周回飛行及び帰還有人
E司令船 ・ 支援船 ・ 月着陸船 遠地点7,400kmの楕円軌道飛行及び帰還有人
F司令船 ・ 支援船 ・ 月着陸船 月周回飛行及び帰還有人
G月面着陸及び帰還有人
H月面着陸、二度の船外活動及び帰還有人
J月面着陸、月面車の使用、三度の船外活動、支援船搭載機器による科学観測及び帰還有人



Hの次にJって・・・・・・アルファベットも分からねぇのかよwww ってお思いの方のために言うと、

本来は「ミッションI」として「支援船に科学測定装置を搭載し、軌道滞在中に各種観測を行う」という物が設定されていました。
しかしアポロ計画が予算上の兼ね合いから短縮して打ち切られる事となったため、「ミッションJ」に吸収。
アポロ15~17号にて行われました。


今回は「ミッションA」の1回目である 『アポロAS-201』 から、
サターンⅤロケットの試験を行った 『アポロ6号』 までを扱います。















アポロAS-201(1966年2月26日打ち上げ)


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【ミッションの分類】A
【使用ロケット】サターンIB
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ サターンIBの性能試験
 ・ 司令船及び支援船の宇宙での動作確認
 ・ 司令船の耐熱シールドの性能確認



このミッションでは、サターンIロケットの発展型となるサターンIBが初飛行。

サターンIBは第1段の推力がサターンIの5,800kNから7,100kNにまで向上。
第2段にはサターンⅤの第3段と同じ「S-IVB」が使用されました。

サターンIB自体は完璧な飛行を行い、高度488kmに到達した時点で司令船と支援船を分離。
支援船のSPSエンジンを用いた再着火技術の実証等が行われ、弾道飛行で司令船は打ち上げから37分後に帰還しました。


この飛行においては、以下のようなトラブルが発生。

酸化剤系統の破損によるヘリウムの混入に伴うSPSエンジンの動作不調
大気圏再突入時の司令船の電力遮断による制御不能
同じく大気圏再突入時の司令船の回路故障による計測機器の停止


これらのトラブル発生から完璧な飛行とは言えませんでしたが、問題は即座に解決。
後の飛行への確かな試金石となったのでした。















アポロAS-203(※俗称「アポロ2号」)(1966年7月5日打ち上げ)


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【ミッションの分類】A(?)
【使用ロケット】サターンIB
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ 第2段(S-IVB)タンク内の燃料の状況把握
 ・ 自動制御装置の初搭載



何故ミッションの分類に「?」を付けたのかと言うと、この「アポロAS-203」は司令船 ・ 支援船すらも搭載していないため。

実は当初は司令船 ・ 支援船を積んで「アポロAS-202」として打ち上げる予定だったものの、
それらの準備が遅れたため、急遽「AS-203」の方を先に打ち上げたという経緯があります。


と言う訳で、このミッションはサターンIBロケットだけに主眼を置いた物となりました。

目的の欄に記した「タンク内の燃料の状況把握」とは、分かり易く言えば「無重力状態下での燃料の動向を知る」という事。
第2段のS-IVBは地球周回軌道から月軌道に投入する際、宇宙空間で再着火を行う必要があります
この事から、液体燃料の動向は知っておく必要があった訳です。


タンク内の状況は83個のセンサーと2台のTVカメラで観察し、その様子は事前の予想通りの物でした。
再着火も無事に行われ、ロケットはその後地球を4周し、タンクの圧力限界値調査のため爆破されました。

このミッションにおいては特に問題は発生せず、ほぼ全てが計画通りに運びました。















アポロAS-202(※俗称「アポロ3号」)(1966年8月25日打ち上げ)


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【ミッションの分類】A
【使用ロケット】サターンIB
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ 司令船の耐熱シールドの耐久性試験
 ・ 燃料電池の初使用



サターンIBロケットを用いた最後の試験飛行となったこのミッション。
今回もロケットは完璧な飛行を見せ、司令船 ・ 支援船を高度216kmの弾道軌道に乗せました。

支援船はプログラム通りSPSエンジンを4回に渡り噴射し、司令船を「AS-201」の時よりも更に高高度に運びました

司令船は8,900m/sという速度で大気圏に再突入。
耐熱シールドに260MJ/㎡という圧力を加え、耐久性の試験を行いました。


司令船は大気圏再突入する際、高度122,000mから66,000mまで降下した後一旦81,000mまで跳ね返されてしまいました。

その後はどうにか減速し無事に帰還は出来たものの、
当初の着水予定地点から370kmもズレた地点に着水する事になってしまいました。


帰還時にこのようなちょっとしたトラブルはあった訳ですが、全体としては成功。
これまでの3回に渡る無人試験は一応全てが上手くいき、いよいよ有人での試験を行う事になりました。












アポロAS-204 / アポロ1号(1967年2月21日打ち上げ予定 : 未実施)


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【ミッションの分類】C
【使用ロケット】サターンIB
【乗組員】 ・ ガス ・ グリソム(船長)
 ・ エドワード ・ ホワイト(副操縦士)
 ・ ロジャー ・ チャフィー(操縦士)
【ミッションの目的】 ・ アポロ計画初の有人飛行
 ・ 司令船及び支援船の宇宙での動作確認
 ・ 地上の追跡装置や制御施設の試験



「アポロAS-204」は、これまでの3度の無人試験を活かし、アポロ計画初の有人試験を行うミッションでした。

実際に乗組員が乗り込んだ司令船 ・ 支援船をサターンIBで打ち上げ、地球周回軌道上へ。
ミッションは2週間程行われる予定でした。



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乗組員は3人。
左からガス ・ グリソムエドワード ・ ホワイトロジャー ・ チャフィー

グリソムは「マーキュリー計画」において、アメリカ人として2番目に宇宙を飛んだ人物です。
その後の「ジェミニ計画」においても同計画中初の有人飛行を行った、ベテラン飛行士でした。

ホワイトは「ジェミニ4号」において、アメリカ人初の宇宙遊泳を行った人物
アポロ司令船飛行システムの専門家でもあった事から、この「アポロAS-204」では彼もクルーに選ばれました。

錚々たるキャリアを持っている上記の2人とは異なり、チャフィーはこれが初飛行。
このミッションでは月着陸船は用いられませんが、予定では彼が月着陸船パイロットの立ち位置でした。





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しかし打ち上げを控えた1月27日、打ち上げの予行演習を行っていた際に司令船内から出火
火は瞬く間に燃え広がり、爆発を伴って司令船は炎上。

グリソム、ホワイト、チャフィーの3名全員が死亡
アメリカの宇宙開発史上、初めての犠牲者が出てしまったのです。



事後原因は一つには限定されず、複合的な諸要因が組み合わさって惨事となったとされました。

ここでは主立った物を紹介する事にします。


出火場所は、操縦室底部左側の環境制御機器の近く・・・・・・という所とまでは推測されたものの、
火災による損傷が酷く、特定の機器や部品をそれと定めるまでには至りませんでした。

この環境制御機器周辺を通る銅線の内数ヶ所が、点検扉のたび重なる開閉によって皮膜がすり減り、
半ば “剥き出し” の状態になっていた事が後の調査で判明。
ここに出火させるのに十分な電圧を持った静電気が発生し、火花が散った事が直接的な原因だと言えなくもありません。


また司令船内には可燃性の素材を用いた部品が数多く使われていました
この点は以前から問題とされており、乗組員達も非常に懸念を抱いていた事が知られています。


これも火災発生の・・・と言うよりは火災を悪化させてしまった原因と言えそうな点ですが、
司令船内は16.7psi(115kPa)の100%純粋酸素で満たされていました。

これは飛行中の「減圧症(俗に言う潜水病)」を防ぐため、
また混合空気より重量を軽く出来る等のメリットから、「マーキュリー計画」時代から用いられてきた手法でした。

しかしこの通常の大気より5倍以上も高い酸素濃度下では、本来燃える事は無いと考えられるような物質でも容易に発火する事があり
先述の環境制御機器周辺から散った火花を、瞬間的に司令船内全域に燃え広がらせたと考えられています。


更には搭乗用ハッチの設計
「アポロAS-204」のそれは “内開き” でした。

純粋酸素で満たされた船内からではただでさえ開け難い物が、
火災で発生した高圧のガスにより、最早開閉不可能な代物と化していたのです。
これにより、火災に気付いた乗組員達が司令船から脱出する事は適いませんでした。







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この事故により、司令船は大幅に設計変更が行われる事となりました。

よって、設計変更までのモデルを 『Block I』 、設計変更後のモデルを 『Block II』 とし、
既に製造済みのBlock Iの司令船はサターンⅤでの無人試験に用いられる事になりました。


Block IIにおける主な改良点は以下の通り。

船内空気は14.7psi(1,013hPa)の60%酸素+40%窒素の混合空気に
宇宙服はナイロン使用の 『Block Iスーツ』 から、ガラス繊維を編み上げテフロンで覆った 『Block IIスーツ』 に
ハッチは “外開き” の方式に
可燃性材質の部材は、全て耐熱性を持つ物に変更
配管 ・ 配線全てに断熱材を塗布
1,407ヶ所に及ぶ配線関係の問題を修正





アポロ1号」という名称は当初乗組員達の間で使われていただけでしたが、
事故を受けて正式にこの「アポロAS-204」を「アポロ1号」として記録する事となりました。

この次に行う事が予定されていたサターンⅤの最初の無人試験は「アポロAS-501」というミッション名でしたが、
アポロ1号の後の飛行は打ち上げられた順で番号を振る事となり、「アポロ4号」という名称に変わりました。


1号で使用されるはずだったサターンIBは発射台から降ろされ、補修を受けた後「アポロ5号」において使用されました。

有人飛行はこの後、'68年10月の「アポロ7号」まで延期を余儀無くされます。















アポロ4号(1967年11月9日打ち上げ)


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【ミッションの分類】A
【使用ロケット】サターンⅤ
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ サターンⅤの性能試験
 ・ 39番発射台の初使用
 ・ 司令船の高速での大気圏再突入



とうとうサターンⅤロケットの初飛行となりました。
月着陸船を除いて、本番同様のフル装備での打ち上げでした。 ※重量自体はバラストを積んで月着陸船搭載時と同様にされた

仮にこのサターンⅤの飛行結果が思わしくなかった場合、
『60年代の内に月面着陸を行う』 としたケネディ大統領の公約は事実上達成不可能となる可能性がありました。


しかしNASAの不安を他所にサターンⅤは完璧に飛行

唯一の失敗(?)はと言うと、それは打ち上げ時の騒音の凄まじさでした。
CBSのキャスターであるウォルター ・ クロンカイトが居た報道ブースでは、余りの振動に天井のタイルが脱落w
それこそ核実験等ではよくある事ですが、全米各地の地震計がサターンⅤの打ち上げ時に作動していたそうです。

事前にそれなりの対策を取っていたにもかかわらず・・・・・・な有様だったため、
NASAはサターンⅤ次回打ち上げ時からは、燃焼ガスの下に数千ガロンの水を放出して騒音を低減させる事にしました















アポロ5号(1968年1月22日打ち上げ)


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【ミッションの分類】B
【使用ロケット】サターンIB
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ 月着陸船の宇宙での動作確認
 ・ 「接続点火」を用いた緊急時脱出試験



当初'67年4月には行われているはずのミッションでしたが、月着陸船の開発の遅れからこの時期に。

「アポロAS-203」以来となる司令船 ・ 支援船無しのスタイルでの打ち上げで、
先述した通り、本来「アポロ1号」に使われるはずだったサターンIBが流用されました。


初の「ミッションB」となる今回は、月着陸船が主役
上昇段及び下降段のエンジンや、切り離しのシステムの性能を確認した他、「接続点火」という、月面降下中に飛行を中止して緊急脱出する事態を想定した、下降段を接続した状態で上昇段のロケットに点火する試験が行われました。

下降段エンジンがシステムソフトウェアのバグにより予定より4秒早く燃焼停止してしまった事以外は完璧でした















アポロ6号(1968年4月4日打ち上げ)


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【ミッションの分類】A
【使用ロケット】サターンⅤ
【乗組員】(無人)
【ミッションの目的】 ・ サターンⅤの性能試験
 ・ 最悪の状況を想定した司令船の帰還訓練



これは来るサターンⅤを用いての有人飛行に備える、最後のサターンⅤの無人試験でした。
前回の「アポロ4号」が完璧な飛行を見せただけに、今回も順調にミッションは進むだろう・・・・・・と思われていました。


ところがいざ打ち上げてみると、前回とはうって変わって酷い有様でした。

打ち上げから120秒間は順調に飛行していたものの、その後30秒間に渡り “ポゴ” と呼ばれる共振現象が発生。
この振動によりロケットからは幾つかの部品が脱落し、ロケット本体もあわや空中分解寸前といった所でした。

どうにか第1段を切り離し、持ち直したかと思った矢先、今度は第2段にもトラブルが発生。
5基ある内の2番 ・ 3番エンジンの2基が燃焼停止
誘導装置が姿勢を立て直すまで、地表と水平になるまでロケットは傾いて飛行する事になってしまいました。

更に更に、地球を2周した後に予定していた第3段(S-IVB)の再着火が行われなかったため、司令船 ・ 支援船の月軌道への投入失敗

着水地点も予定から80kmズレ、回収に10時間を要す等散々な結果でした。





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これでは有人飛行等出来る訳も無いので、この「アポロ6号」で得られたデータを基にサターンⅤは練り直されます。

これによりサターンⅤの信頼性は飛躍的に高まり
以降11回に渡り用いられたサターンⅤは、深刻なトラブルを起こす事は一度もありませんでした。


その意味では、「アポロ6号」のgdgdな飛行も無意味ではなかったという事でしょうw


























            / ̄ ̄\   <前回より長くなってない・・・・・・?
           /   _ノ  \
             |    ( ●)(●)
            |     (__人__)
          |     ` ⌒´ノ
          __|___       }
        /      \     }
       /  ─    ─\  ノ
     /    (●)  (●) \ヽ、  <何の事やら・・・・・・・・・
     |  U   (__人__)    | _|_________
     \      ` ⌒´   ,/ | |              |
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 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄l二二l二二  _|_|__|_


次は絶対短くなるよ! 7~10号までの予定だもん!ww
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COMMENT

アポロAS-204の事故は以前何かの雑誌で読んだことがある。
いやな事件だったね。
そしてその3人は口封じのために殺されたとも書いてあったような…

ん?誰か来たようだ

| しろとら | 2012/02/27 14:39 | URL |

>>しろとらさん
それ以上いけないw

確かにありましたね「3人は口封じで消された」説。
グリソムがアポロ計画に批判的だったのと、司令船の設計でNASAのスタッフ側と揉めてたらしいですから・・・

月に降りてないとか、それとはまた意味の違った陰謀が・・・
うわなにをすくぁwせdrftgyふじこlp

| CHAKE | 2012/02/27 15:54 | URL | ≫ EDIT















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