群馬大学GA研究会 なんでもにっき

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アポロ計画を振り返る Vol.1 ~アポロ計画の全容~

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この壮大な計画について、私なりに書いてみたいと思いますw












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アポロ計画に関しては、この「フロム ・ ジ ・ アース」という作品が非常に詳しいので、是非視聴をお勧めします。

宇宙オタとして有名な俳優、トム ・ ハンクス氏が製作総指揮。
尋常じゃ無い予算を使い、映像も映画顔負けですが、あくまで「TVドラマ」ですw












・・・・・・さて、書いていきましょうか。





この通り日本に住んでる私が「アポロ計画」を知ったのは、宇宙関連の図鑑が最初だったと思います。

月着陸船の図やら宇宙服なんかに心を躍らせたものでした。



そんな中で最も印象に残っているのは、小学生時代に観た映画「アポロ13」。



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これは非常に有名なアポロ13号の事故を映画化した物ですが、幼い私は見事にハマりました。

月へ行って還って来るというこの計画の壮大さと、
事故という困難な状況にあっても生還を諦めない人々の物語に惹かれたのです。



それから私は、アポロ計画について色々と調べ出す事となりました。















そもそもアポロ計画とは何か?


アポロ計画(アポロけいかく、Apollo program)とは、NASAによる人類初の月への有人宇宙飛行計画である。
1961年から1972年にかけて実施され、全6回の有人月面着陸に成功した
アポロ計画(特に月面着陸)は、人類が初めてかつ現在のところ唯一、有人宇宙船により地球以外の天体に到達した事業である。 これは宇宙開発史において画期的な出来事であっただけではなく、人類史における科学技術の偉大な業績としてもしばしば引用される。


・・・・・・とは、Wikipedia先生のご紹介。





背景にあったのはアメリカ ・ ソ連という2大国を中心とした、所謂「東西冷戦」。

直接弾丸を撃ち合うのではなく、その戦闘の “代理” として宇宙開発が競争的に行われたのです。





まずは人工衛星の打ち上げ


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これはソ連がアメリカに先んじて成功

世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、
アメリカ社会に俗に言うスプートニク ・ ショックをもたらしました。






続いては人間を乗せた有人宇宙飛行


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これもソ連の勝利

ユーリィ ・ ガガーリンが搭乗した「ボストーク1号」が、有人飛行に成功。
地球を1周し、無事に還って来たのでした。








“一番乗り” を次々とソ連に先取りされ、追い詰められたアメリカは

有人での月面着陸 という壮大な目標を掲げます。


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時の大統領ジョン ・ F ・ ケネディが行った演説は有名です。

We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard, because that goal will serve to organize and measure the best of our energies and skills, because that challenge is one that we are willing to accept, one we are unwilling to postpone, and one which we intend to win, and the others, too.

(我々が10年以内に月に行こう等と決めたのは、それが容易だからではありません。 寧ろ困難だからです。
この目標が、我々の持つ行動力や技術の最善と言えるものを集結し、それがどれほどのものかを知るのに役立つ事となるからです。 その挑戦こそ、我々が受けて立つことを望み、先延ばしする事を望まないものだからです。
そして、これこそが、我々が勝ち取ろうと志すものであり、我々以外にとってもそうだからです)





これこそが 『アポロ計画』 のスタートであり(正確には以前から計画自体はあった)

1960年代が終わるまでに月に行くという、無謀とも言える挑戦の始まりだった訳です。















〈「アポロ」を成す宇宙船〉

さてさて、ケネディ大統領が公約した「1960年代の終わりまで」という期限に間に合わせるべく、
NASAを始め全米の企業が総力を挙げて宇宙船の開発に乗り出します。


幾つかの単位から構成される宇宙船を1基のロケットで打ち上げ、月面着陸船が月面で活動している間、司令船は月周回軌道上に残り、その後活動を終えて上昇してきた着陸船と再びドッキングして地球に還る・・・・・・という「月周回ランデブー」という方式で月へと向かう事となったため、

宇宙船を月まで運ぶ巨大なロケット
クルーのメインの搭乗船で、地球への帰還時にも用いる宇宙船(+それのバックアップ用のモジュール)
月面に着陸する宇宙船

という、大まかに分けて3種類のロケットや宇宙船を開発する必要がありました。





巨大なロケット

人間を乗せて、約38万km離れた月へと向かうロケット。
それは人類史上、最も巨大かつパワフルなロケットの開発となりました。



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まず初めに開発されたのが「サターンI」ロケット(左)。
これは計10機が打ち上げられ、司令船 ・ 支援船(後述)の模型の打ち上げ等を行いました。

続いて開発された「サターンIB」ロケット(右)。
名前の通りサターンIの改良型で、実際に乗員を地球軌道上に送り、様々な試験を行いました。





そして真打ちとなるのが、この サターンⅤ」ロケット!


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(´゚д゚`) デカッ!!

というのが第一印象でしょうねwww
そう思わせるように意図的に画像サイズもデカくしてますしww



じゃあ、実際どんな大きさなのか。
比較して見てみましょう。

比較対象は日本の誇る大型ロケット「H-IIB」(56m)と「H-IIA」(53m)です。



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なんだこれ・・・・・・ww

サターンⅤは全長110.6mという驚愕のサイズ!
H-IIA ・ H-IIBはその半分程しか無い訳です。

最早ここまで来ると気持ちの悪いサイズwww



H-IIBが低軌道(LEO)に19tの打ち上げ能力があるのに対し、
サターンⅤは118t

月軌道にすら47tを運搬出来ると言いますから、如何にハイパワーかがお分かり頂けるでしょう。










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サターンⅤは液体燃料を用いる3段式のロケット。
合わせて13回の飛行を行い、宇宙船を喪失するといった深刻な事故は1度も起こしませんでした。


パワーや全長もさることながら、その打ち上げにかかるコストも膨大
1回の打ち上げで24~35億ドル(2007年換算)を消費しました。

2007年当時の円相場から言うと、2,822億4千万円~4,116億6千万円(1ドル=117.6円)

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の予算1年分(約2,700億円)を平然と超えていますww















クルーがメインで用いる宇宙船


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この宇宙船は2つの部分から構成されており、

上部の円錐形のカプセルが「司令船」。
司令船は飛行士が滞在し、宇宙船を操縦し地球に帰還させるために必要な全ての制御装置が搭載されています。

チョコ菓子の「アポロ」がモチーフとしているのは、この司令船の形ですw


司令船の下部に付いているのが「支援船」。 ※「機械船」と呼称する場合もありますが、私はこの呼び方の方が好きなので・・・・・・ww
支援船には、推進用の大きなロケットエンジン1基と姿勢制御用の小型ロケットエンジン16基及びその燃料、更に宇宙滞在中に必要な酸素 ・ 水 ・ バッテリー等の消耗品が搭載されていました。








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司令船は直径3.9m、高さは3.2m。 3名の乗員が搭乗出来ます。

出入口は2ヶ所。
乗員搭乗用の物が中央操縦席上部に一つと、月着陸船への移動用の物が機首部分に一つ。


船内は6つの区画に分かれており、

・ 下部中央は航法制御用望遠鏡、各種ビーコン、ジャイロ装置、司令船コンピューター、薬箱、Sバンド送信機等
・ 前部左側は食料の保管庫、船内の熱交換器、宇宙服のコネクター、飲料水供給装置
・ 前部右側はサバイバルキットや各種書類の保管場所
・ 左側中央は酸素タンク、船内の気圧調整バルブ、宇宙服の保管庫
・ 右側中央は修理道具や廃棄物の保管庫
・ 後部(座席後方)は70mm及び16mmカメラ、飛行士の衣服、消火器などの保管庫

という構成です。



地球への帰還時は支援船は切り離され、司令船単独で大気圏に再突入します。
そのため底面は4層のハニカムパネルを貼り合わせた耐熱シールドとなっています。

また機体には減速用パラシュート2基、
ドローグシュートとそれに連なるメインパラシュートが3基ずつの計8基のパラシュートが搭載されています。






一方支援船は直径3.9m、高さ7.5mの円筒形の構造。

支援船のメインエンジンであるSPSエンジンは、
推力は91.2kNで、月周回軌道への投入 ・ 離脱、飛行途中での軌道修正等に用いられます。

側壁に取り付けられているのが姿勢制御用ロケット(推力445N×4の4基)。
その名の通り姿勢制御や速度の微調整時に用いられます。


支援船も6つの区画分けが為されており、

・ 第1区画は主に機械船の重心を調整するためのバラストとして使用
・ 第2区画にはエンジンの酸化剤タンクが配置
・ 第3区画には酸化剤タンクが配置
・ 第4区画には酸素タンクと水素タンクからなる燃料電池が配置
・ 第5区画にはエンジンの補助燃料タンクが配置
・ 第6区画にはエンジンの主燃料タンクが配置


後部に設置されているのは遠距離通信用のSバンドアンテナ
直径787mmのパラボラアンテナが4基と、279mm四方の方形アンテナが1基構成。


支援船は司令船から切り離されると先に大気圏再突入し、分解 ・ 消滅します。





司令船 ・ 支援船はそれぞれ、アポロ1号及びアポロ13号の事故に深く関わっているんですが、
その話はまた追々するという事で・・・・・・















月面着陸用の宇宙船


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月着陸船」はその名の通り、月面に着陸するための船。
英語の「Lunar Module」から「LM」と、或いは「LEM」と呼ばれたりもします。

ちなみに世界初の “宇宙のみで活動する事を前提として造られた” 宇宙船です。





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月着陸船も上昇段 ・ 下降段の2部分構成


上昇段は飛行士が搭乗する言わば「キャビン」で、定員は船長と月着陸船パイロットの2名
月着陸船が月面着陸を試みている間は、司令船に司令船パイロットが1人で残ります。
姿勢制御用ロケット(推力455N)が16基と、月からの離脱時の上昇用エンジン(推力15.6kN)を1基搭載。

下降段は着陸時にメインで用いられ、推力45.04kNの下降用エンジンを1基搭載。
上昇段の離脱時は “発射台” の役目を果たします。








当初はアポロ計画全体のスケジュールに支障を来しかねない程開発が遅れ
1967年4月に試作1号機の打ち上げ試験が行われるはずだったものが、翌年の1月までズレ込みました。

また、その打ち上げ直前になっても地上試験等でトラブルが多発。
最後まで “難産” となった開発劇だったのです。



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しかし、そんな開発の苦労も何のその。

いざ宇宙で使用してみれば、月着陸船は極めて信頼性の高い宇宙船として完成していたのでした。



これを実証する逸話として、アポロ13号における月着陸船の “活躍” があります。

月への飛行途中で支援船の酸素タンクが爆発し、司令船 ・ 支援船が使い物にならなくなる中、
飛行士達の「救命ボート」として月着陸船が利用されたのでした。

本来2人の飛行士を45時間生存させるよう設計されていた月着陸船でしたが、
あらゆる部分を切り詰めて使用した結果、3人の飛行士を90時間生存させる事に成功したのです。








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ラスト3回のアポロ15~17号では、「月面車(Lunar Roving Vehicle)」も装備されました。

よく「こんな大きな物が月着陸船にしまえたはずがない」と陰謀論の標的とされますが、
何て事は無く、四つ折りのような状態で収納され、月着陸船の下降段横に設置されていたのです。


ちなみに最高速度は、アポロ16号の際に計測された18km/h
これは「月面で車輪を持つ乗り物が出した最高速度記録」としてギネスに登録されています。




















〈アポロ計画を支えた人物〉


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この人こそ、アポロ計画は勿論、アメリカの宇宙開発自体を支えたと言っても良いロケットの天才!

彼の名は ヴェルナー ・ フォン ・ ブラウン



本名はヴェルナー ・ マグナス ・ マクシミリアン ・ フライヘア ・ フォン ・ ブラウン

何やらアメリカ人らしからぬ名前・・・・・・
それもそのはず、彼は元々ドイツ人






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第二次世界大戦末期、ヒトラーの指示の下ドイツは世界初の弾道ミサイルV2」を開発しました。
このV2を造り上げた人物こそ、フォン ・ ブラウンでした。

V2は主にイギリス ・ ベルギーに向けて発射され、
誘導装置がそこまで正確でなかったため実質的な効果は薄かったものの、ロンドン市民をパニックに陥れました。


フォン ・ ブラウンはこのV2の技術を足掛かりに、もっと大きなロケットの開発を夢見ていました。


しかし1945年も半ばになるとナチス ・ ドイツの敗戦の色は濃厚に。

下手をすると技術流出を防ぐため “口封じ” として親衛隊に殺されかねないと考えたフォン ・ ブラウン達は、
V2の技術を持ってアメリカへ亡命する事を決意。






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アメリカへ渡ったフォン ・ ブラウンは、活動の場をナチス ・ ドイツからアメリカ陸軍へと変更。
レッドストーン兵器廠で弾道ミサイル技術の開発に携わる傍ら、ロケットによる宇宙開発の野望も捨ててはいませんでした。

フォン ・ ブラウンが悪名高いV2の開発者であり、親衛隊少佐も務めていた事から、亡命当初は冷遇を受けます。

その流れが変わったのが1957年
ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げた事によりアメリカの威信は失墜。
その威信の回復を賭けて打ち上げられたアメリカ海軍のヴァンガードロケットは大失敗

最早欠片も無くなったアメリカのプライド。
その最後の頼みの綱がフォン ・ ブラウンだったのです。


スプートニクの打ち上げからおよそ4ヶ月が経過した1958年1月31日、
フォン ・ ブラウンの「ジュピターC」ロケット(左)は打ち上げに成功。

見事、アメリカ初の人工衛星「エクスプローラー1号」を軌道に乗せました。




その後有人飛行計画である「マーキュリー計画」がスタート。

当初はアメリカ空軍のICBM「アトラス」を基にしたロケットを使用する予定でしたが、開発が難航。
ガガーリンの飛行によりまたもやソ連に先を越されたという事もあり、やっぱりフォン ・ ブラウンに白羽の矢が立ちます。

フォン ・ ブラウンは旧型のミサイルである「レッド ・ ストーン」(右)を用い、「マーキュリー1号」を打ち上げ。
レッド ・ ストーンのパワーが足りないため弾道飛行ではありましたが、アメリカ初の有人飛行を成功させます。








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1960年には、アメリカ航空宇宙局(NASA)に移籍。

「マーキュリー計画」、「ジェミニ計画」を経て、「アポロ計画」を起ち上げます。


そして「サターンⅤ」を造り上げ、人類が月面の地を踏む立役者となったのです。


























Vol.1と銘打ってある訳で、今回はこの辺にしておきましょうかw

今回は計画概要 ・ 裏側に終始しましたが、次回からは具体的な各1機1機のミッションを紹介していきたいと思います。



ではまた次回にお会いしましょう・・・・・・























   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)                ____
. |  U   (__人__)            /      \
  |     ` ⌒´ノ           /─    ─  \   <初回にブーストかけ過ぎたせいで、
.  |        }  \      / (●) (●)    \   次回から誰も見てくれなくなるっていう・・・・・・
.  ヽ         }     \     |   (__人__)   U   |
   ヽ      ノ       \   \   ` ⌒´     _/
   /    く. \      \  ノ           \
   |     \  \    (⌒二                |
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  ハ_ハ  
('(゚∀゚∩ ミテルヨ!
 ヽ 〈 
  ヽヽ_)

| しろとら | 2012/02/10 11:02 | URL | ≫ EDIT

>>しろとらさん
ありがとうございますw

頑張ってシリーズ続けていきますので、ご期待下さいヾ(´ー`* )ノ

| CHAKE | 2012/02/11 00:08 | URL | ≫ EDIT















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